離婚原因

 離婚が認められるのは、夫婦が婚姻継続の意思を実質的に失っており、共同生活を回復することが不可能であると客観的に判断できる場合です(破綻主義)。

 婚姻関係の破綻については、別居期間の長さが判断の中核となります。別居期間が短い場合や未だに同居している場合には、相手方の有責行為などの事実が重要になります。。

不貞行為

 不貞行為は、自由な意思に基づいて配偶者以外の者と性的関係を結ぶことをいい、離婚原因の一つとなります。

 不貞行為の証明責任は、離婚を求める原告側にあります。収集する証拠としては、写真、録音テープ、クレジットカードの利用明細書、携帯電話の通話履歴、メールの文面等が考えられます。異性との外泊の事実があれば、不貞行為を推認できる場合が多いと考えられます。

 ただし、貞操義務は婚姻前には成立しませんし、婚姻破綻後は消滅するものと考えられますので、婚姻前または婚姻破綻後の性的関係は不貞行為にはあたらないことになります。離婚を求める側としては、夫婦生活の実情、婚姻期間と別居期間、別居に至った事情、婚姻継続の意思などを考慮しながら、婚姻関係破綻の時期と不貞行為の時期の先後関係を意識する必要があります。

悪意の遺棄

 悪意の遺棄とは、正当な理由なく夫婦の同居義務や扶助義務を履行しないことをいいます。

 典型例としては、夫が妻以外の女性と不貞行為に及び、家を出てしまい、生活費を送金しない場合が挙げられます。また、妻を家から追い出したり、同居させなかったりするような場合も、悪意の遺棄に該当すると考えられます。

 正当な理由があるかどうかについては、別居した経緯や別居中の相手方の生活状況などを考慮して判断されます。例えば、別居に至った原因がもっぱら相手方の不貞行為にあるということであれば、正当な理由の一つとして考慮されます。

生死不明

 配偶者の生死が3年以上不明であれば、離婚原因となります。また、生きているが行方不明であるという場合には、生死不明とはいえませんが、上記の悪意の遺棄にあたるなどの理由で離婚原因となる場合があります。

 さらに7年以上生死不明という場合には、失踪宣告の申立てにより、配偶者が死亡したものとみなすことにより、婚姻を解消するという方法も考えられます。この場合は、離婚ではなく死亡による婚姻の終了となりますので、他方配偶者が相続人になるかどうかという点に違いがあります。どちらの方法を選択するかは、法的関係を考慮したうえで判断することになります。

精神病

 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがなければ、離婚原因として認められる可能性があります。

 精神病の内容については、具体的な疾患名や症状の程度等が決まっているわけではなく、正常な夫婦生活が継続できないような重い精神病といえるかどうかが問題となります。

婚姻を継続し難い重大な事由

 婚姻を継続し難い重大な事由とは、婚姻関係が破綻していること、すなわち、夫婦が婚姻継続の意思を実質的に失っており、共同生活を回復することが不可能であると客観的に判断できるような状態をいいます。

 例えば、暴力行為や虐待は離婚原因になります。配偶者の両親や連れ子に対する暴力行為や虐待も、婚姻を継続し難い重大な事由に該当すると考えられます。

 性格の不一致は、直ちに離婚原因になるとは考えられませんが、夫婦間の争いが繰り返され、婚姻生活の維持が困難と判断されれば、離婚が認められる場合があります。

 配偶者が多額の借金をし、その返済のため生活費が不足し、生活が困窮するような事態になった場合には、夫婦の協力・扶助義務に違反することになりますので、婚姻を継続し難い重大な事由に該当するとして、離婚が認められる場合があります。

有責配偶者からの離婚請求

 有責配偶者とは、もっぱら又は主として離婚原因となるべき事実を作出した一方当事者のことをいいます。夫婦の双方が同じ程度に破綻の責任がある場合には、有責配偶者には該当しません。

 有責配偶者からの離婚請求が認められるかどうかは、夫婦の別居が相当の長期間に及んでいること、未成熟子が存在しないこと、相手方配偶者が離婚により極めて苛酷な状況におかれるなど、離婚請求を認容することが著しく社会正義に反するといえるような特段の事情が認められないことなどの事情を考慮し、判断されます。

 別居期間については、判例によると6年から8年程度が一応の目安と考えられますが、明確に決められた基準はなく、両当事者の年齢、同居期間との対比、他方配偶者の責任の度合いや離婚給付に関する有責配偶者側の態度など、具体的な事情を考慮する必要があります。

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