遺産

遺産の範囲 

 一身専属性を有する権利義務を除き、被相続人の財産に属した一切の権利義務が、相続の対象として遺産の範囲に含まれます。

 預貯金は、相続の対象となりますが、可分な金銭債権としての性格から、当然に遺産分割の対象とはなりません。このような債権は法律上当然に分割され、各共同相続人がその相続分に応じて権利を承継するとされています。
 もっとも、銀行実務においては、共同相続人の1人からの預金の払戻請求を拒絶し、相続人全員が署名押印した分割協議書か所定の払戻請求書と相続人全員の印鑑証明書、または、調停調書や審判書を求められることが通例です。

 葬儀費用については、そもそも誰が負担すべきものかについて争いがあり、確定的な運用は決まっていません。相続人全員が合意できるような場合には、遺産分割において清算する余地もあります。なお、相応以上の葬儀費用がかかった場合には、喪主が負担すべきであると考えられています。

 死亡保険金の保険金請求権については、実務上は遺産に含まれないと考えられます。

遺産評価

 遺産分割事件において、遺産の評価が問題となるのは、各相続人の法定相続分を指定相続分や特別受益及び寄与分によって修正して具体的相続分を算定する段階と、この具体的相続分に従って現実に遺産を分配する段階です。

 特別受益や寄与分については、相続開始時を基準として評価し、各相続人の法定相続分を修正して具体的な取得割合を算定するのが通常です。

 現実に遺産を分割する段階については、遺産分割時を基準として遺産を評価するのが実務です。特別受益や寄与分が問題とならない場合は、遺産分割時の評価のみで足ります。