遺産分割

意義

 遺産分割とは、相続開始後、共同相続人の遺産共有状態にある被相続人の相続財産を、各共同相続人に分配することです。

 民法906条は、「遺産の分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする。」として、遺産分割の基準を示しています。

種類

 遺産分割の手続には、①遺言により分割の方法を指定する分割、②各共同相続人の協議による分割、③調停による分割、④審判による分割の4種類があります。

①遺言による分割
 被相続人は、遺言で、分割の方法を定め、若しくはこれを定めることを第三者に委託することができます(民法908条)。
 分割方法の指定は、全相続財産についても、一部の相続財産についてもすることができ、また、共同相続人全員について行ってもよく、その一部の者について行うこともできます。
 共同相続人の一部についてのみ分割方法の指定がなされた場合、分割方法の定められていない相続財産について分割協議を求め、あるいは、この部分について家庭裁判所に分割を求めることもできます。

②協議による分割
 協議による分割は、被相続人が遺言で分割を禁止した場合を除き、いつでも他の共同相続人と協議して、全員の意思の合致により相続財産を分割することができます(民法907条1項)。
 分割の協議は、口頭で合意した場合も協議として有効に成立しますが、協議の内容を証明し、協議の蒸し返しを防ぐためには、遺産分割協議書を作成することが望ましいといえます。

③調停による分割
 共同相続人間で遺産分割の協議が調わないとき、または協議をすることができないときは、各共同相続人は、その分割を家庭裁判所に請求することができます(民法907条2項)。遺産分割を請求しようとする者は、まず家庭裁判所に家事調停の申立てをしなければなりません(家事事件手続法257条1項)。
 調停手続は、家庭裁判所におかれる調停委員会が非公開の場で、相続財産の分割について法律上の問題点のみならず人間関係等を調査・整理しながら、各当事者間で全員一致の合意が成立するよう斡旋するものです。

④審判による分割
 遺産分割の調停が成立しない場合には、調停の申立ての時に審判の申立てがあったものとみなされるので、審判手続に移行することになります。

方法

 遺産分割の方法には、①現物分割、②代償分割、③共有分割、④換価分割、⑤その他の方法による分割があります。

①現物分割
 現物分割は、遺産をあるがままの姿で分割する方法で、遺産分割の原則的方法といえます。もっとも、実際の分割にあたっては、具体的相続分と完全に一致することはほとんど不可能ですので、金銭債権の分割や債務の負担等によって調整するという形態が多いです。

②代償分割
 代償分割は、共同相続人の1人又は数人に具体的相続分を超えて遺産の一部又は全部を現物で取得させ、同相続人に対して、現物では具体的相続分に満たない遺産しか取得しない他の相続人に対して、その不足分に相当する分を代償として債務を負担させる方法です。

③共有分割
 共有分割は、現物分割のうち、その一部または全部を複数の共同相続人の共有とするものです。特定の物件を共有して取得させる方法は、遺産の分割は終了するが、将来さらにその共有状態を解消しなければならないような事態も予想されるため、例外的な場合に限定されます。

④換価分割
 家庭裁判所は、遺産分割の審判をするため必要と認めるときは、相続人に対し、遺産の全部又は一部を競売して、または、任意に売却して換価することを命ずることができます。

⑤その他の方法による分割
 分割の対象となる遺産上に賃借権や使用借権などの用益権を設定することを命ずる方法や、当事者に対し物の引渡し、登記義務の履行その他の給付を命ずる方法などがあります。